



- 島根県邑智郡川本町にある「加藤病院」で総合内科医として働く波多野先生。
地域に根ざした医療を大切にし、外来・病棟から在宅支援まで幅広く診療し、患者さん一人ひとりの生活や思いに丁寧に向き合い、「最善の選択を一緒に探す医療」を実践しています。
今回は、医師としてのやりがいや島根で働く魅力、プライベートまでお話を伺いました。 

実家が美郷町で診療所を営んでおり、将来は地元で地域医療に貢献したいという思いがありました。美郷町は県内でもトップクラスの長寿の町ですが、町内に中核病院がないため、近隣医療機関との連携が欠かせません。こうした環境で、まちの診療所が果たす役割は非常に大きく、幅広い年代・疾患に対応できる総合診療の力を身につけたいと考えるようになりました。
現在はご縁があり、となり町の川本町にある加藤病院の総合内科で勤務しています。外来・病棟・訪問診療に加え、定期的に島根県立中央病院の総合診療外来や救急当直にも携わっています。
もともと臨床推論に興味があり、症状やさまざまな情報から疾患の可能性を考え、必要な検査や治療を導いていくプロセスに大きな魅力を感じてきました。
総合診療の魅力は、「何でも診られる」こと。専門外だからと線を引くのではなく、どんな患者さんにもできる限り自分が向き合いたい――それが私の診療スタイルです。
邑智郡の中核病院である加藤病院には、邑智郡や大田市を中心に浜田市など県西部から患者さんが来院されます。その多くは高齢で、複数の慢性疾患を抱えるケースも多いため、全体を見渡しながら診ていく総合診療の重要性を日々実感しています。ここでの経験を、将来の地元医療につなげていきたいと思っています。


社会医療法人仁寿会は在宅療養を支える”医療・介護・住まい”の複合事業体で、その中でも加藤病院はモバイルヘルスケアを積極的に展開し、在宅医療支援を軸に医療と福祉を連携させた「地域総合ヘルスケアステーション」として、幅広いサービスを提供しています。
診療科の充実はもちろん、長期入院が可能な療養病棟や介護施設、さらには自宅での生活が困難な方のための医療近接型住宅やグループホームなどの支援付き住宅まで備え、急性期から慢性期、在宅・訪問診療まで切れ目のない医療体制が整っています。
来春には町の複合文化施設「悠邑ふるさと会館」の隣接地へ移転予定で、新施設は設備や機能がさらに充実し、行政との連携や災害対応も強化される計画です。「悠邑ふるさと会館」と一体になることで、より地域に開かれた医療拠点となることが期待されています。

地域総合ヘルスケアステーションかわもと新施設群
医師として大切にしているのは、その方にとって「最善の選択を一緒に探すこと」です。過剰な医療も過小な医療も避けたいですし、私の知識不足や思い込みで選択肢を狭めることがあってはならないと考えています。
治療方針を決めるときは、医学的に正しい選択を一方的に押しつけるのではなく、患者さんの思いや生活背景、事情を丁寧に汲み取ることを心がけています。私の考えもお伝えしたうえで、「それなら、このような選択肢もありますよ」と提案しながら、一緒に方向性をすり合わせています。
がん検診を受けるか迷っている方とは、特に時間をかけてお話しするようにしています。前向きになれない理由を丁寧に聴き、否定せず、急かさず、対話の「間」を大切にすることを心がけています。
時間をかけて向き合うからこそ、本音を話してくださることも多く、「話しやすい」と言っていただける瞬間は、大きな励みです。納得できる治療方針に一緒にたどり着けたときには、医師としての喜びを感じます。
医療は、病気を診るだけではなく、その人の生活を守ること。日々の診療を通して、その思いをあらためて実感しています。

地域全体が元気に暮らし続けるためには、病気や介護をできるだけ予防する仕組みが欠かせないと感じています。入院患者さんを診ていると、低栄養や体力低下が原因で状態を崩すことも多く、病気になる前からのアプローチの重要性を実感します。診察や薬の処方にとどまらず、日常的に筋力トレーニングや栄養指導を行うなど、予防意識を高める取り組みを、少しずつ形にしていきたいと思っています。
私自身、夏はジョギングで体力づくりをしています。運動の大切さを伝える立場だからこそ、自分も実践することで説得力が増しますし、患者さんと話が弾むのも嬉しいことです。
将来的には、実家の診療所でも訪問診療を取り入れ、地域の健康管理から在宅支援まで一貫して関われる体制を整えたいと考えています。

休日は、家族と過ごす時間を大切にしています。3歳になる息子はミニカーが大好きで、よく一緒に遊んでいます。大田市・三瓶山で開催された「さんべ祭」では、パトカーや消防車など「はたらくクルマ」に大喜びでした。
天気の良い日は、出雲市の浜山公園へ。遊具が多く、小さな子でも安心して遊べます。園内を散歩するだけでも気持ちよく、島根は自然の中で子どもがのびのび遊べる環境が整っていると感じます。

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抱き枕
最近購入した安眠アイテム。やわらかいビーズ素材が心地よく、手のしびれも改善し、睡眠の質が上がった気がします。……ただし、抱えて寝ているのに、朝にはどこかへ行っているのが不思議です(笑)。

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オーディブル
通勤やお風呂の時間に小説を聴くのが日課。読むのは少し苦手でしたが、聴く楽しさを知ってから一気に世界が広がりました。ジャンルも豊富で、新しい興味に出会えるのが魅力です。
加藤病院で働き始めて一年半。医師や看護師、薬剤師、リハビリスタッフなど、多職種との距離が近く、気軽に相談し合える環境です。病院対抗のバレーボール大会では、多職種のスタッフが一緒になって楽しむなど、アットホームな雰囲気も魅力です。
また、仁寿会として地域イベントにも積極的に参加しており、住民の方と直接触れ合うことで、普段の診療だけでは見えない生活の様子や人柄を知ることができます。こうした自然な関わりが、地域医療の土台になっているのだと感じます。
訪問診療では、長く診てきた患者さんの最期をお看取りした経験があります。ご本人と家族と丁寧に話し合い、希望どおり自宅で最期を迎えられたことは、忘れられない経験になりました。
病院と在宅の両方に関わることで学びが深まり、自分が目指す医療に挑戦できる自由度の高さも島根の魅力だと感じています。少しでも関心があれば、ぜひこのフィールドに飛び込んでみてください。


社会医療法人仁寿会加藤病院は、島根県の中部に位置する邑智郡川本町に所在しており、地域総合ヘルスケアステーションとして介護施設や在宅療養支援センター備え、地域に密着した医療を提供しています。内科、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科など幅広い診療を提供し、急性期から慢性期、在宅・訪問まで切れ目のない医療体制を整えています。
モバイルヘルスケアによる巡回診療、産業・学校保健への積極的な関与、オンライン診療車による「医療MaaS診療」など、先進的な取り組みも実施。地域の医療アクセス向上に大きく貢献しています。


