島根県済生会江津総合病院 循環器科 佐々木 拡志 先生
島根県済生会江津総合病院 循環器科 佐々木 拡志 先生

Doctor profile
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佐々木 拡志 先生 Hiroyuki Sasaki 島根県済生会江津総合病院 循環器科
江津市在住・一児の父/島根県江津市出身/島根大学医学部卒業(2019年)
  •  島根県江津市にある「島根県済生会江津総合病院」で内科医として働く佐々木先生。
     地域医療を支える病院の医師として、子どもから高齢者まで、さまざまな疾患に対応できるよう、専門だけでなく幅広い分野の知識習得を目指しているそうです。また、高齢者が多い地域ならではの課題にも向き合い、多職種と連携を図りながら、ニーズに沿った医療サービスの提供や普及活動に力を入れています。そんな佐々木先生に、子育てやプライベートの話を交えながら島根で働く魅力についてお話を伺いました。
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Q.島根で働く理由や、魅力に感じていることを教えてください。
地域医療を目指す人にとって、やりたいことを実現しやすい環境が整っています。

 もともと地域医療に携わりたいと考えていて、地元の病院の力になりたいと思ったのが理由の一つです。江津市は島根県で最も面積が小さく人口が少ない市。医療資源が限られるなか、島根県済生会江津総合病院は市の中核病院として、地域の人たちにとって拠り所となるような医療機関を目指しています。

 病院の特徴として、院内に地域包括支援センターが入りすぐ近くに介護福祉施設を併設しているのは、在宅支援の連携を図る上で大きな利点です。大学病院と違って、ここでできる先進医療は限られていますが、この環境だからこそ経験できることも多く、大きなやりがいを感じています。

 そして、日々の診療を通して地域が抱える具体的な課題や医療の奥深さを知り、自身が医師として目指す方向性を見出すことができました。現在は、専門以外にも子どもから高齢者まで、さまざまな疾患を抱える患者さんの対応をしています。現場で求められる役割は多岐にわたるため、自ずと経験値が上がり興味の幅も広がりました。今後もできるだけ多くの疾患を診られるよう、いろいろな分野に挑戦していきたいと思っています。

 

 

 

 

Q.仕事をする上で心がけていることや、大切にしていることを教えてください。
熱意に溢れる医療スタッフの存在が原動力になっています。 

 現在、医局長としてより良い医療を届けるため、さまざまな業務改善に取り組んでいます。多職種が連携を強化した体制を整えるだけでなく各自が高い専門性を発揮できるよう、これまで以上に働きやすい環境づくりにも力を入れています。

 現場では多職種の医療スタッフと積極的にコミュニケーションをとり、気づきを共有し、課題に対して自ら率先して行動することを心がけています。また、良い信頼関係が築けるよう誰に対しても思いやりをもって接することを大切にしています。

 皆さん人柄が良い方ばかりで、何でも相談しやすく、困ったことがあれば自然とお互いをカバーし合うチームワーク力の高さを感じています。さらに、一人ひとりが常にそれぞれの立場で必要なことを考え、自発的に取り組んでいます。

 この熱意に溢れたスタッフこそが当院の一番の魅力だと思っていて、私がここで働き続けている最大の理由といっても過言ではありません!日々大変なこともありますが、皆さんが明るく前向きに取り組む姿を見ていると、自分も頑張ろうと意欲が湧いてきます。

 家族みたいに大切に思える仲間と出会えたこと、一緒に働けることがとても嬉しく、皆さんのために力を尽くしたいという思いが、私の原動力になっています。

 

スタッフのみなさん

●SNS発信もぜひご覧ください。皆さんの雰囲気の良さが伝わると思います。

 

 

Q.現在、力を入れている取り組みについて教えてください。
人生を最期まで支える在宅医療の充実と早期の意思決定の定着を目指しています。

 私は、江津の皆さんが住み慣れた場所で最期まで自分らしく過ごし、人生を全うして欲しいと思っています。そして、そのためにできることは最大限に取り組んでいきたいと考えています。特に必要性を感じるのは在宅医療で、希望される患者さんには可能な限り訪問診療を行っています。また、自宅で最期を迎えたいと望む患者さんや家族の意向に沿うよう在宅での看取りも支援していて、これまでに2例の看取りに立ち会わせていただきました。患者さんが納得できる形を実現できたことにやりがいを感じるとともに、地域医療に携わる使命感をさらに強く意識できるようになりました。

 今後さらに需要が高まることが予想されますが、まだまだ十分な体制が整っているとは言えません。これからも引き続き在宅医療の充実や普及を目指していきたいですね。

 

 また、併せて早期の意思決定を地域全体に定着させたいと考えています。先日は、病院まつりの市民公開講座で人生会議をテーマに講演し、最期の過ごし方について事前に家族で話し合うことの大切さを伝えました。普段話題にしにくい内容ですが、入院や施設入所後に慌てる方も多いので、いざとなった時のために納得できる選択肢を増やすきっかけとなることを願っています。

Q.好きなことやリフレッシュの仕方を教えてください。
大好きな音楽を通じて、皆さんと交流できることを楽しんでいます。

 幼稚園の頃からピアノを習っていて、今でもよく弾いています。音楽は聴くのも演奏するのも好きで、気持ちが落ち着きます。今年の夏には院内コンサートで演奏し、入院患者さんやご家族と楽しいひと時を過ごしました。聴きに来てくださった皆さんから、「良かったよ。」と声をかけていただき、自分の演奏でたくさんの人が喜んでくださったことに感動しました。音楽には言葉では言い表せない力があります。心を穏やかにしてくれたり、元気をくれたり。こういった機会が、少しでも患者さんたちの癒しやリフレッシュになれば嬉しいです。

 

 実はこの時、一緒に出演した尺八奏者は偶然にも中学校の恩師の先生で、15年ぶりの再会を果たし共演が叶いました。人との出会いやつながりを深めてくれるのも音楽の魅力です。当院には私以外にも楽器を演奏できるスタッフが居るので、ぜひ次回は一緒にコンサートで共演してみたいですね。

 

 

院内コンサート

 

 

 

Q.島根での子育てはいかがですか?家族との関わり方で大事にされていることを教えてください。
温かい環境で安心して子育てができています。

親子

 お店の数などは都会と比べ少ないですが、自然が身近で子どもと遊べる場所がたくさんあり、落ち着いた環境で過ごすことができます。

 2歳になる息子は、島根県済生会江津総合病院で産まれました。助産師さんや病棟スタッフの皆さんにとても良くしていただき感謝でいっぱいです。現在は産婦人科で出産できませんが、夫婦ともにここで出産できたことを嬉しく思っています。院内保育園の存在も心強く、安心できる環境で子育てができています。

 仕事が忙しいと遅くなる時もありますが、できるだけ家族と過ごす時間を大切にしています。

 一緒に夕飯を囲んで、子どもとお風呂に入り寝かしつけ、寝顔を見て心を充電します。休日は公園へ遊びに行ったりと、何気ない日常に幸せを感じています。

 

 私も妻も動物好きで、我が家にはフェレットと猫たちも仲良く暮らしています。実は、大半はペットショップではなく譲り受けたり保護施設から迎えたりした子たち。息子には優しく思いやりのある子になって欲しいので、動物と触れ合う中で自然と優しく接する心が育めることを願っています。そして、少しずつ生き物の命の大切さについても伝えていきたいですね。

 

フェレットと猫

 

 

 

 

My Favorite
  • 医療スタッフの仲間たち
  • 医療スタッフの仲間たち

    一緒に働くスタッフの皆さんは、私にとってかけがえのない存在。いつも支えてもらっています。以前、私が入院した時には、温かいメッセージ動画や寄せ書きをいただき、とても励まされました。この出会いに心から感謝しています。

  • 走ること
  • 走ること

    学生時代は陸上部に所属していました。走ることが好きで、今でも時間があれば近所をランニングしたり、地域で開催されるマラソン大会に出場したりすることもあります。家のすぐ近くが海なので、景色を眺めながらランニングを楽しんでいます。



 

 

Q.島根で働く若者へメッセージをお願いします。
仲間との出会いを大切に、自分の力を発揮できる環境を見つけよう。

 今まで出雲や益田、江津で勤務してきましたが、どこにいても感じるのは人の温かさです。研修医時代は不安な時期もありましたが、同僚や指導医の先生をはじめさまざまな職種の方、患者さんや地域の方からも温かい言葉をかけていただき、たくさんの人との出会いに支えられながら多くの経験を積むことができました。

 

 現在、島根県済生会江津総合病院に勤めて3年目を迎えます。さまざまな課題に直面する中でもその度に協力者が増え、少しずつ自分が目指す地域医療の実現に向けてステップアップできていると実感しています。

 また、県西部の医療機関で働く医師や多職種の医療従事者と定期的に研修会を実施し、今後の地域医療について活発に話し合う機会を設けています。一人でできることには限りがありますが、垣根を越えて同じ志を持つ仲間が結束すれば大きな力となり、明るい未来に向かって新風を起こせると信じています。

 

 皆さんも、一つひとつの出会いを大切にして、自分がやりたいことを見つけて欲しいですね。ここは、思い描いたことを実現しやすい環境が整っていると思うので、ぜひ確かめに来てください。私たちの想いに賛同し、一緒に島根の医療を盛り上げていく仲間が増えることを楽しみにしています。

 

 

 

島根県済生会江津総合病院 循環器科 佐々木 拡志 先生
島根県済生会江津総合病院 循環器科 佐々木 拡志 先生
施設紹介

 島根県済生会江津総合病院は、島根県西部に位置する江津市に所在しており、幅広い診療科を備え、急性期から慢性期まで地域に密着した包括的な医療サービスを提供しています。また、すぐ近くに介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった介護福祉施設を併設し、訪問看護やリハビリテーションなどの在宅支援サービスも展開しています。社会福祉法人恩賜財団済生会の一員であり、済生会の県支部である島根県済生会として江津圏域における総合的な医療・保健・介護・福祉を担っています。